足場の仕事に携わる中で、「この先いつまで続けられるのか」と考える瞬間は、誰にでも訪れます。特に体力が必要な職種だからこそ、年齢を重ねるごとに不安や迷いが生まれやすくなります。
30代を過ぎると、徐々に身体の変化を感じ始め、40代ではケガのリスクや回復力の低下を実感する人も多いでしょう。50代に入ると、若手とのスピードの差や体調管理の難しさがより現実的な課題になり、60代を迎える頃には「現場に立ち続けるのは限界かもしれない」と感じる人も出てきます。
しかし一方で、実際の現場には40代、50代、場合によっては60代でも活躍を続ける職人が存在します。「若い頃より丁寧な仕事ができる」「周囲に支えられながら無理なく続けている」といった声もあり、年齢だけで引退が決まるわけではないという現実もあります。
“何歳まで働けるか”に決まった答えはありません。ただ、どの世代においても「無理をしない工夫」や「次の道をどう考えるか」が問われるタイミングは確実に訪れるのです。
年齢を重ねても現場に立ち続けるには?
年を取ってからも足場の現場に立ち続けるためには、「体力だけに頼らない働き方」が不可欠になります。若い頃と同じようなスピードや量を求めてしまうと、無理がたたりやすく、怪我や体調不良の原因になりかねません。
実際に長く現場に関わっている職人たちは、いくつかの工夫をしています。たとえば、資材運搬の際には台車やクレーンを活用し、自身の負担を減らすことを意識しています。また、作業そのものも「力でねじ伏せる」のではなく、テコの原理や重心の使い方など、技術や経験で補う動き方が自然と身についています。
加えて、現場の中での「立ち位置」を見直すことも重要です。先頭に立ってガンガン動くのではなく、段取りや安全確認、若手のフォローにまわることで、自分の役割を変えていくという方法もあります。現場全体を見渡せる立場になることで、周囲からも信頼され、自分のペースを保ちやすくなるというメリットもあるのです。
年齢を重ねること自体は決してマイナスではありません。むしろ「どう続けるか」に意識を向けられる人ほど、長く働ける現実的な道を見つけ出しています。
「鳶を上がったあと」も活かせる力がある
「そろそろ現場を離れたいけれど、何ができるのか分からない」。そんな声は少なくありません。しかし足場職人として積み重ねた経験は、実はさまざまな形で活かすことができます。
たとえば、足場工事で身につくのは単なる体力ではなく、段取り力、全体を見る目、安全に対する意識、そして他職との調整力といった「現場のリーダーとしての力」です。これらは施工管理や安全管理のポジションに非常に役立ちます。特に中小規模の現場では、現場経験者の判断力が重宝されます。
また、資材会社や関連業者への転職でも、足場に関する深い知識が評価されることがあります。営業や管理業務に進む場合でも、「現場を知っている」という強みは説得力として大きく働きます。
近年では、若手の育成や技能伝承の担い手として活躍する元職人も増えています。現場を熟知した人が教えることで、若い世代が安心して学べる環境がつくられているのです。
つまり、足場を「上がったあと」も、その経験が無駄になることはありません。次のキャリアにどうつなげるかは、自分の考え方次第で大きく広がっていきます。
「辞めどき」はどう決める?迷ったときの見極め方
足場の仕事を続けるか、それとも引くか──この判断に明確な正解はありません。ただ、長年現場に立ってきた人ほど、「どのタイミングで区切りをつけるか」は慎重に考える必要があります。無理をして続けることで、体を壊してしまえばその後の選択肢が狭まるからです。
判断軸としてよく挙げられるのは、まず「体力と健康」です。日々の疲労感やケガの回復スピード、持病の有無などは、現場作業に直接影響します。また、家族の意見も大切な要素です。「そろそろ現場から離れてほしい」と言われたことで、引くことを前向きに捉えるようになったという話も珍しくありません。
加えて「経済的な視点」も見落とせません。現場を離れた後の収入源や生活費の見通しが立っているかどうかは、安心して次のステップへ進むための前提になります。必要ならば、早いうちから資金計画や公的制度の確認を始めることも一つです。
そしてもう一つ重要なのが、「他人と比べないこと」です。周囲が現役を続けていても、自分の体や環境がそれに合っていなければ無理をする必要はありません。どの道を選んでも、自分のタイミングで納得のいく決断ができることが一番です。
悩んだときは、他の人のケースや制度の情報に触れてみるのもヒントになります。実際の声や最新の動きは、こちらからご覧いただけます。
▶ https://www.ukyogumi.jp/infomation
「現場を離れたその後」もキャリアは続く
足場工事を離れたあと、多くの人は別の仕事に就いています。その内容は人によってさまざまですが、共通しているのは「現場経験が次に生きている」という点です。たとえば、施工管理や現場監督の職に就いた元職人は、「職人目線を持っているから話が早い」と評価されることが多く、現場との信頼関係も築きやすくなります。
また、資材の運搬や販売、レンタル業などに進むケースもあります。こうした仕事では、資材の特徴や使い方を熟知していることが強みになります。職人経験があることで、提案や説明にも説得力が増すのです。
別業界に転職した人でも、「危険予知力」や「作業段取りの工夫」は共通スキルとして評価される場面があります。足場という業務を通じて身についた力は、どこかで必ず役立つ要素を持っています。
さらに、技能実習生の教育や若手育成に携わる元職人も少なくありません。自分が培った経験を次の世代に伝えることにやりがいを感じ、第二のキャリアとして長く活躍する道を選ぶ人もいます。
現場を離れることは“終わり”ではなく、新たなスタートです。次の一歩をどう踏み出すか、準備を始めるだけでも視界は開けてきます。
「辞めるか続けるか」ではなく「どう活かすか」がカギ
年を重ねるなかで、「足場工事をいつまで続けるべきか」と悩むのは自然なことです。体力的な限界や家庭の事情、将来の見通し──考えるべきことは多くあります。ただ、そこで立ち止まって考えること自体が、すでに大切な一歩でもあります。
続ける選択をする人もいれば、離れる決断をする人もいます。どちらにも間違いはありません。ただし大切なのは、「辞めるか続けるか」の二択ではなく、「これまでの経験をどう活かせるか」という視点を持つことです。
足場という現場で培った力は、どんな道に進んでも土台として活きてきます。段取りの力、人との連携、安全を守る意識。こうした力を持つ人材は、どこに行っても必要とされる存在になり得ます。
これからどうしたいかは、自分次第です。現場に立ち続けたいと思うなら、そのための工夫をすればいいし、次のステージを見据えるなら、準備を始めればいい。選択肢を持つということは、それだけ可能性が広がっているということでもあります。
一歩踏み出す前に、誰かに相談したくなったら。お気軽にご連絡ください。

